ままらに茶屋

シャイな私たちの英語倶楽部 - introvertsのための英語学習法

英語って音楽みたい

こんにちは。ごきげんいかがですか? シャドーイングは試してみましたか? 

さてこのシャドーイング、真面目にやると数分間やるだけで、結構口の筋肉が疲れてきます。お気づきになりましたか? それからあなたがいつもと違う口の形をしてしゃべっていることにはっとしたのでは?

 

 

英語はマッスル?

動物の鳴き真似などしてみるとよくわかると思いますが、声というものは楽器のように口の形や息の出し方や響かせ方で、全く変わってきますよね。逆に、英語を話そうとするときと、日本語を話そうとするときでは、出す音色やリズム、メロディーが違うのですから、私たちの体が全く違った動きをするのです。試しにフランス映画を観ながらフランス語(のつもり)でシャドーイング(のつもり)をやってみましょう!あれ、なんだかまた、英語のときとは違う形で口が動いていますよ。筋肉の疲れ方も違うでしょう?

英語の単語やフレーズを発音するときに、日本語の口の動かし方ではスムーズに行きません。これはネイティブの発音が、この単語やフレーズを効率よく言うために進化した形だからです。さらに、その音を出すために体のあらゆるパーツが協力し合っているということも理解しなくてはなりません。言い換えれば、発音をよくすると、あなたも効率よく話すことができる。つまり、話すときに楽ができるということです。日本語でもそうですよね。簡単な例を挙げてみると、「あたたかいね」が「あったかいね」になったり、「信じられな〜い」が「信じらんな〜い」、どこんち、ぼくんち、あたしんち、「わかっているよ」は「わかってるよ」の方が話し言葉では自然ですよね。それから表記の仕方についてどれが正しいのか、しばしば議論の対象にもなっていますが、せんたっき、りょかっきなどという例もあります。「私」や「あなた」、「彼」や「彼女」、助詞の「を」もよく省かれますが、なくても意味は通じます。

言うほど速くしゃべってない、と主張するネイティブスピーカーの言い分

さて、教科書で勉強していたときは理解できていたのに、ネイティブの会話を聞いたら、やたらにスピードが速くて全くついていけなかった! というのは語学を始めて必ずぶち当たる壁です。けれどもネイティブに言わせると、いやいや、そんなことはない。よく聴いてみれば、言うほどスピードは速くないはずだと言います。「そうかなぁー」と私もつい疑いの目で見てしまいましたが、よく観察してみると、なるほど! 発音されない音がたくさんあったり、むにゃむにゃっと弱く発音されたりしているから、やたらに難しく聞こえるけれど、文字に起こしてみると大したことは言っていない!

 

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これはBig Trainという BBC で放送されていたコメディーですが、フランスの田舎で観光客が車が故障して困っていて、近くに自動車修理工場はないかと自転車で通りかかった男性に声をかけるという設定。いくつかセリフを書き起こしてみます。聞こえてくる英語と文字になったものを比べてみてください。

  • Excuse me, excuse me. Sorry, do you speak English?
  • No, I don't. Sorry.
  • My car's broken down...and I wondered if you could tell me where to find a garage.
  • Yeah. Well, you know, that's wasted on me.
  • I don't understand what you're saying.
  • You don't speak any English at all?
  • Not a word, no.
  • It's one of those things where I wish I paid more attention in school but...

"Do you speak English?" Big Train - BBC TWO より引用

ルールを知れば大したことない…かな?

幸いにも、この、話し言葉では消えてしまう音があったり、省かれてしまう単語があったりする現象には、知っておくと便利ないくつかのパターンがあります!あとで順を追ってしっかり見ていきましょうね。でも残念なことに、これを頭で理解できても、目の前でしゃべっている人の言葉を本当に理解するまでには少し時間がかかります。ですからその前にこのむにゃむにゃや、省かれた音があっても理解できるように、少しずつ作戦を練りながら、自分を鍛えていくことにしましょう。

英語という音楽に慣れる。

英語には独特のリズムや、メロディーがあるということは、皆さんも薄々お気づきだとは思いますが、まずはこれに耳を傾けてみることから始めましょう。英語と一口に言っても色々ありますが、はじめのうちはアメリカ英語とイギリス英語という大きい区分でそれぞれのスタンダード*1と呼ばれているものを聴くので良いと思います。それが一番ベースづくりには向いているからですが、実はイギリス英語というのはとても抽象的な概念で、実際にイギリスで話されている英語には様々なアクセントや方言があり、とてもカラフルでバラエティに富んでいるのです。もし好きな俳優など、あなたがあんな風に喋りたいと思う人がいるのなら、その人のインタビューを聴いてみるのも良いと思いますし、選択肢は色々あります。そして、もしあなたがどこか訛りの強い地域に引っ越す予定があるのであれば、もちろんその地方の言葉についての知識が少しはあった方が良いと思います。でも聞き取れないのははじめのうちはしかたがないと思ってください。標準英語のベースがしっかりあれば、そのうち聞き取りもできるようになります。それから、大抵その地方にもいろいろな地域から移り住んできた、色々なアクセントで話す人が暮らしていますし、地元の人たちだってテレビやラジオ、映画などでスタンダード英語に常に触れていますから、地元の訛りで話さなくてもあなたを理解してくれます。もちろん、その土地の言葉を話せたら、ウケは良いでしょう。義理のお母様なんて大喜びでしょう。けれどもいわゆるスタンダードと言われている英語は情報も収集しやすいし、教材になるものが断然多いです。ですから勉強するにはそこから始めるのがいちばんなのです。それに、はじめから土地の言葉で話そうとして、自分が自分を理解できないようでは困ってしまいますしね。 

ままらにの地味な自慢話 〜 方言こってこてのお客様相手にカスタマーサービス

私は以前、ご縁があってイギリスの北の方の、とても訛りの強い地域に住んでいたことがあります。そしてなぜかそこで、小さな会社のカスタマーサービス(電話です…)のアルバイトをしていました。なぜ着いたばかりの日本人の私にマネージャーがこの仕事をさせようと思ったのか、どう血迷ったらそういう判断をするものなのか、今でも本当に不思議なのですが、それくらいこの地方の方言、訛りというのは半端でないことで有名なのです。Geordieと呼ばれている英語です。はじめのうちはさすがに苦笑いしかできなかったのですが、いつの間にかお客さまの話が逃げなくなっていたのです。これは別に、私のせいで客が寄り付かなくなったという意味ではありません。理解しようと頑張って聞いているのに、お客様の話す英語がうなぎのようににょろにょろして、それを素手で握ろうとしてつるり、そんな感じです。一旦は逃してしまったらもうどうしようもなくて、周りの水をばしゃばしゃやるぐらいしかできなかった…(涙) そんな私でも、いつしかGeordieのお客様の心をぐいとつかみ、五つ星サービスとまで言わしめることができたのは、彼らの話す英語のリズムに耳を澄ませ、一緒に波に乗ってどこまでも付いていったから。一度乗ったら落ちないぞ、というしつこさで、彼らの歌にシンガロングした訳です。実はこれはただの地味な自慢話ではありません。それくらい、メロディーって使える!ということです。

シャドーイングがかったるかったら「ラララ」

そうです。シャドーングで単語を追いかけるのがしんどければ、「ラララ」でも良いのです。とにかく英語特有のメロディーやリズムをキャッチしてみて下さい。

しばらくそうして聴いていると、文がいくつかのまとまりで成り立っているのがわかってくると思います。まとまりとまとまりの間には小休止が入ったり、間投句など、つなぎ言葉を入れたり、色々ですが、ひとつのまとまりの中には大抵他より強調されて、強く発音される単語があるものです。これに注目すれば何について話しているのがだいたいわかってきます。

ここまできたらしめたもの。次回からは具体的にここから飛躍的に英語力を伸ばすテクをご紹介していきたいと思います。 

それではまた。

 

*1:スタンダードと呼ばれているのはイギリス英語ではRP (Received Pronunciation)というもので、もともと英国南部のパブリックスクール出の教養のある人たちが話していた英語なのだそうです。この呼び方は古臭いとBBC Pronunciationと呼ばれたりもしています。映画版のブリジット・ジョーンズもこのアクセントで話しています。アメリカ人のレネー・ゼルウィガーがアクセントコーチについて特訓を受けたという話は有名ですね。この発音は辞書や、語学書などの発音ガイドとして取り入れられていますが、実際には人工的でこのようなアクセントで話す人はイギリス英語人口のうちのほんの一握りなのだとか。