ままらに茶屋

シャイな私たちの英語倶楽部 - introvertsのための英語学習法

さようなら、Blue Monday!必ず良いことが起こる目標の立て方。

気づけばもう一月もう残すところあと一週間。
遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。
今年もみなさまに、笑顔と喜びとLOVEに満ちた、美しい日々がたくさんおとずれますように。

 

一年で一番憂鬱になる日“Blue Monday”とは? 

さて、みなさまはNew Year’s resolution立てられましたか?いわゆる新年の抱負とか今年の目標!ですね。私の場合、何か変化させたいなと思うのは少し早いクリスマス休暇に入る頃です。実をいうと、その頃になると一年の疲れがどっと出てきて、休暇に入るというのはゴールにやっと倒れこむようなイメージ。毎年これじゃいかん!と自分の中にポッと不思議な火が灯るのです。

さて、昨日は月曜日でしたね。実を言うと私の月曜日はかなり憂鬱な一日でした。幸い帰宅してから大逆転。同じ夢を持つお友達とあることを始めることになりました。それについてはいつかこのブログでもお話ししたいと思いますが、ブルーな月曜日が一転してルンルンの月曜日になってしまいました。ルンルン💕

ところで、先週の月曜日、1月21日、あなたはどこで何をされていましたか?

イギリスの心理学者、Cliff Arnall 教授によると一年で一番気の滅入る月が1月。特に3、4週目の月曜日がひどいそうです。彼の発明したある方法で計算すると、一年で最も憂鬱な日が割り出すことができるというのです。立派な名前も付いていて、Google で “Blue Monday”と検索すると、まるで今年の旧正月は何日に当たる?とか今年のイースターはいつ?みたいなノリでちゃんと、Monday 21 January と出てきます。

気になる計算に必要な要素は以下の通りです。

(W) weather=天候、(D) debt=負債、(d) monthly salary=月給、(T) time since Christmas=クリスマスからどれだけ時間が経っているか、(Q) time since failed quit attempt=(禁煙など)新年の目標に挫折してからもう何日経っているか、(M) low motivational levels=やる気レベルの低さ、(NA) the feeling of a need to take action=なんとか行動を起こさなきゃと思う気持ち。

そしてこれをこの式に当てはめる。

 [W + (D-d)] x TQ
         M x Na

出典元 : Wikipedia (日本語はすべて著者訳)

さてこんな風に人の気分を簡単に数式で割り出せるのか、どこまで信じて良いのか怪しいところですが、(Q)のところに注目。Q はquit のQ ですね。今年こそは quit smoking(タバコやめるぞ〜)とか、quit drinking(お酒やめるぞ〜)とか、quit being a nice guy(いいヤツでいるのをやめるっ)なんていうのもよく聞きます。新年を迎えたら何かをやめなきゃいけない訳では決してありませんが、やはり新しい年が来たら、古い自分にバイバイしたくなります。

そんな風に、洗いたての白いシャツみたいなパリパリな気分で立てた目標に、早くも挫折している事実に向き合うということは、たしかに気の滅入ることですね。

必ず失敗する目標の立て方

ところで私の主人は年末に必ず「来年こそは〜〜するぞ!」とはりきって禁酒をしたり、日記などつけ始めます。もちろん禁酒などお正月に出来るはずもなく、日記も数日後、普通のメモ帳と化してしまいます。私も以前は負けずに目標を掲げ、その実現のためにノートを一冊作ったりしていました。大きな一年の目標を立て、そのために今日は何が出来るか考え、毎日のto-do list(やることリスト)を作り、一日の終わりに確認するみたいなやつです。でも…毎日って意外に大変〜〜💦 はじめのうちは楽しいんだけど、そのうち出来ない日が増えてきて、結構自分にがっかりしちゃったりして、あの新年のポジティブなエネルギーは何処へ〜?それでもこのノート開いているだけまだマシで、あんまりしばらく触らないでいると、近寄る元気もなくなってくるのです。

夢に向かって希望と情熱を持って走り始めたはずが、Oh dear!気づいたら一ヶ月以上何もしていなかったじゃないの!…なんて現実と向き合うのが怖いんだもん!

目からウロコのアドバイス。離乳食で学んだ目標管理の知恵。

ところがそんな三日ぼうずを絵に描いたような私でも、ずっと続けられていることがあります。

それはなんと「娘の食事を作ること!」です。「え、それって当たり前でしょ?」と突っ込みそうになったあなた、特にあなたにお子さんがいて、配偶者の方がその子のお食事を作っているというのであればなおさら、あなたにぴったりの英語表現がありますよ。

"Don’t take it for granted!"

"Don’t take me for granted!"

ほんとほんと。娘はアレルギーがひどかったので栄養管理が特に大変で、それでなくて母乳時代の自己管理から始まり、離乳食になり、常に最良なものをあげたいとバランスを考えながら食べやすいように調理する。食べてくれないとあの手この手で試してみる。よくここまで育ってくれたなあと今こそ言えますが、当時は必死でしたからね。

娘が2歳ぐらいでしたか、好き嫌いをし始め、ほとんど食べなくなってしまったときのこと。もともと食べられるものが限られていたところへ、好き嫌いまで言い出すとは!と「神の不在」まで感じてしまったままらに。そんなある夜。寝る間を惜しんで必死で対処法を調べていると、どなたか同じことでお悩みのママさんを発見したのです。ママ応援系サイトに投稿されていました。彼女に向けてのある先輩ママさんからのアドバイスが神すぎて、思わず「やっぱり神様おったよぉぉっ!」と涙したものです。残念ながらこの素晴らしき投稿とコメントを再度見つけることはできませんでしたが、内容はざっと以下のようなものでした。

「もっと長い目で見て大丈夫ですよ〜。今日がだめでも明日がある、一週間単位で考えて良いって聞きましたよ〜💛」


ええーっ、本当にいいの?と戸惑う私でしたが、栄養面では一週間で必要なものが取れていれば大丈夫なんだそうです。もう突然誰かに無理やり椅子に座らされ、肩もみが始まったような気分でした。こちらに良い記事を見つけたので興味のある方はご覧になってみてください。

okame.work

今日がだめでも明日がある、目標は一週間単位で。

さて、少し気持ちに余裕が出てきた私は、一週間単位というこのコンセプトを応用してみることにしました。目標を立てるときに、一年後どうなりたいか、とか、今日やるべきこと、というように一日単位で目標を立てるのではなく、一週間単位で考えるのです。一日ですと、どうしても自分に厳しくなってしまい、できなかったりすると必要以上に自分を責めてしまいかねません。ところが一週間あると、今日やってみたけどうまくいかなかったから明日またやってみる、など再チャレンジが可能です。

夢の実現のために、こうなりたいとか、こうしたい、という長期計画、ビジョンを持つことは大事です。私にも今年の目標はあります。でもこれは猫背矯正をするみたいなものと考えています。つまり、日々の雑用に追われたり、仕事や子育て、人付き合いなど、いつの間にか目標に向かって歩んでいることを忘れて背中が丸まっちゃっているときに、例えばの話、背筋を伸ばしましょう!というポスターが貼ってあったら、思わず「あっ」と言って背筋伸ばしますよね。リマインダーとして、私には大きな目標があるのよ!とか、しっかりしなきゃ、とかこれを見ることでウキウキわくわくするようなものだと効果があると思いますが、常に軌道修正しながら進む、勇気と柔軟性も必要なのです。

わくわくしながら目標管理。「週次計画」はすごい!

さて、この一週間ごとの目標の立て方ですが、私の場合、毎週日曜日にその週の「やることリスト」を作ります。あんまり欲張らずに3〜4個にとどめておきます。そして毎朝これを見て確認し、できることを行動に移します。そしてまた日曜日が来たら、どうだろう、できたかな、とチェックインするだけ。できていたら自分を大いに褒めてあげ、できていなかったら、なぜできなかったのか、どうしたら良いのかを考えて、新しい週のリストを作成します。こうすることで、私は仕事と子育てのせま〜い隙間に詩や文章を書く時間を持てるようになり、見失いかけていた自分の夢に向かって、歩み出すことができました。それまで漠然と夢見るだけで時間だけが過ぎ去っていく毎日を送っていたのが、毎週チェックインすることで、軌道修正をしながら着実に前に進んでいるのが確認できるようになったのです。これとっても励みになるんですよ〜。

このやり方が私にはとっても合っていたので、きっと何か根拠があるんだわ、と調べてみたら、嬉しいことにこの方のブログに出会いました。「週次計画」っていうのですね。読んでいて思わずにやっとしてしまう、とてもチャーミングな文体で、計画を立て、行動し、夢を次々と叶えていらっしゃる、お若いのに偉いわね〜〜と感心させられました!おすすめです。

こちらは目標管理の仕方について。

jmatsuzaki.com

さてもう一つ、今実験的にやっているのは、日曜日に週次計画を立てるとき、ページの頭に長期の目標を書き出すことです。毎週やることになるので、必然的に変化する自分と対話が必要になります。週次計画を立てて行動をしていると、必ず良いことが起こります。そのときに、いや、僕には決めた目標があるから。とその良いことが起こったことを無視できるでしょうか。私はこの良いことを長期の目標と照らし合わせ、微調整しながら進むのがベストだと思うのです。この目標がどのように変化していくのか、私も楽しみ。

 

ではボンボヤージ! 

クリスマススペシャル ー 映画「STICK MAN」

またこの季節がやってきましたね。
今日は私もおじいちゃんのところで毎年恒例のディナーしてきましたよ。
娘は念願の傘をゲットして得意顔。ケーキやチョコレートも食べ放題で、ちょっと大変なことになっていました💦

みなさまはクリスマスはどのようにお過ごしですか?

映画「STICK MAN」(2015) − こえだのとうさん英語版全編

ご存知グラッファロの名コンビ、ジュリア・ドナルドソン (Julia Donaldson) とアクセル・シェフラー (Axel Scheffler) の絵本が原作。日本では「こえだのとうさん」として知られていますね。これは娘と観るのに図書館で借りてきたのですが、とても良かったので紹介します。

まず声優さんたち、主役の Stick Manは「ホビット」のビルボ・バギンズや「シャーロック」のワトスン役で有名なマーティン・フリーマン (Martin Freeman) 。ファンも多いのでは? それからナレーターのジェニファー・ソーンダーズ (Jennifer Saunders) の声がとにかく美しい。実はこの方「Absolutely Fabulous」という、はちゃめちゃコメディーの主役の一人であり、脚本家、イギリスではかなり人気のある方です。

www.dailymotion.com

Alliteration ~ 英語圏の押韻癖 

ジュリア・ドナルドソンさんの作品は言葉遊びや押韻による、軽快なリズム感を持っているのが特徴です。自身のホームページで、Q&Aという形を取りながら彼女の創作ライフについて語っていますが、その中で、グラッファロが生まれたインスピレーションはどこから来たのかという問いに、グラッファロがあんな姿をしているのは、たまたま色々なものが韻を踏んだからなのよ(例えば足の指toesと鼻nose、黒blackと背中backなど)と答えています。さらに Terrible Teeth  や、Knobbly Knees などの alliteration と呼ばれる頭韻も多用されています。この alliteration は、Beowulf などアングロサクソンの詩や、現代のキャッチコピーや歌詞などでもよく使われる押韻の方法で、気をつけて見ていると本当によく使われているので面白いですよ。Peppa Pig, Rebecca Rabbit, Suzie Sheep, もそうですよね。Peppa Pig というイギリスの子供番組のキャラクターの名前ですが、主人公の Peppa の弟 George 意外はみんな頭文字が alliteration なのです。これは Mummy Rabbit の、もうすぐ生まれてくる赤ちゃんの名前をお姉ちゃんになる Rebecca のお友達がみんなで考えるというところで気づきました。

www.youtube.com


英語圏にお住いの方は街頭広告など、気をつけて見てみてください。きっとたくさんの alliteration を見つけることができますよ。

動詞の活用も使いよう

ところで、この映画で一つ鍵になっているのが STICK という単語。これは名刺では棒とか小枝とかそんな意味ですが、動詞では STICK STUCK STUCKと活用しますね。この活用の形でそれぞれ色々な面白い意味を持ってくるのです。そこで問題です。この映画の後半に A STUCK MAN というのが登場します。さて、これは一体誰のことでしょう?

では楽しいクリスマスをお過ごしください。

良い発音ってどんな発音?あなたはどんな風に喋りたい?(番外編)

こんにちは。ままらにです。今日はちょっと脱線して、英語の発音、訛りやアクセントについて私が感じていることをお話しします。

スタンダードの英語は神じゃない

イギリス英語というと、何か漠然と、きちんとしたそういう正しい英語があるように聞こえますが、方言や訛りなど、とてもバラエティに富んでおり、常に新しい表現も生まれていて、実はとても有機的なものなのです。

前回、発音を学びたいのであれば、スタンダードと呼ばれているものから取り組むのが良いというようなことを書きましたが、これはあくまで、実際に発音を学ぶためのマテリアルが手に入りやすいということと、聞き手も理解しやすく、応用が利くからです。私は英語が好きなので、いろいろな土地の言葉、例えばCockney Rhyming Slangsなどにも興味があります(これについては非常にわかりやすい説明がこちらのサイトにあります)。でも正直言ってこれってあんまり応用利きません。これから入ってしまったら、イギリス国内ならまだしも、一旦外に出てどこか旅行に行ったらもう完全に「???」ですし、何よりはじめからハードルが高すぎます。これは地元で実際に生活して、生の会話に参加しないことにはマスターできない言葉です。

だからといって、スタンダードと呼ばれるRPやBBCの発音を絶対的な最終目標にすることや、あるいは神のように崇めることにもあまり意味がないでしょう。英語にはたくさんの方言や訛りあり、それぞれが魅力的なのです。

英国各地の生の英語に触れるならケン・ローチ監督の映画

ケン・ローチ監督の大、大、大ファンの私。監督の作品には重いテーマを扱ったものが多いので、観た後はとてもお腹いっぱいになってしまいますが、それでもなぜかもう一度、そしてもう一度と観たくなります。コメディーものも大好き。 

ところで彼は映画を作るときには必ず、舞台になるその地方出身の俳優を起用することにしているそうで、どんなに方言や訛りの真似をするのが上手な俳優でも、その土地の出身でない人はローチ監督作品でジモティー役はできません。本物にこだわる、彼のぶれない姿勢、本当に素敵ですね。ですから英国各地の生の英語に興味がある方は、彼の映画を観ることをお薦めします。例えば、「わたしは、ダニエル・ブレイク」では前回少し紹介しましたGeordie英語、「麦の穂をゆらす風」では南アイルランドのコークの英語などが聞けます。ちなみに彼の作品には英語圏で上映されるときにも、英語の字幕が付けられることもあるそうです。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」I, Daniel Blake(2016年)

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「麦の穂をゆらす風」The Wind That Shakes the Barley (2006年)

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「エリックを探して」Looking for Eric (2009年)

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「th」?「f」?「正しい話し方がある」という考えは危険!

これは昨年の出来事ですが、BBCのアナウンサーが本来ならばthと発音すべきところをfと発音したと視聴者からたくさんのクレームがついたそうです。これは典型的なロンドンの訛りで、問題になったのは宝くじのひとつであるThunderball。これをThunderball ではなくFunderballと発音した!というわけ。ご本人のRussell Evansさんはロンドナーのアクセントを売りにしており、クレームをつけてきた保守派の視聴者に向けてこう言い放っています。

The idea that there is a “correct” way to speak is the sibling of the perspective which says there is a correct way to look.

                                                                                    - The Guardian, 29 Sep 2017

「正しい話し方がある」という考えは、「ものには正しい見方がある」という考え方と同じ類のもの。

アクセントは私たちのアイデンティティー

私も同感です。ラッセルさんのようにリアルな英語を話す人の声がBBCで聞こえてくるのは若い世代に勇気と希望を与えることでしょうね。

アクセントは私たちのシグニチャー、指紋のようなもので、唯一無二のもの。私たちのアイデンティティーなのです。それがRPとは程遠いものであっても私は、それはそれで愛すべきものだと思っています。確かに、あなたのアクセントがあまりに独創的で、誰もあなたの言うことをわかってくれないというのでは困りますから、クリアに発音する努力はやはり必要だと思います。そして一つの単語も、イントネーションの違いで意味やニュアンスが全く違ってしまったりすることもあるので、その辺りはきちんと身につけなくてはいけません。また、前回書いたように、ネイティブの発音で英語を話すほうが、日本語の発音で無理やり英語を話すよりもスムーズにいくということも忘れないでください。

お師匠さんはセレブ!? 必聴!キリアン・マーフィーの朗読するイェイツ

自分に関していえば、私は語学をやるなら発音も含めて総合的に学びたいと思っています。その方が断然やりがいがあるし、楽しいからなのですが、困ったことに私は環境にすぐ影響を受けてしまうので、身近にいる人のアクセントがいつの間にか感染ってしまっていることがよくあります。イギリス人の地域の訛りだけではなく、ドイツ人訛りやスペイン人訛り、ロシア人訛りやブルガリア人訛りになってしまうこともあり、ドイツ語もスペイン語もロシア語もブルガリア語も実際には話せないのでおかしな話です。Geordieのお客さまから「君のそのアクセントはなんだ、フレンチか?」と聞かれたこともあります。これは完全に主人の影響で、フレンチじゃないけど大陸訛りが付いちゃっていたのね。

もしあなたが私のようにすぐに感化されてしまうタイプであれば、発音トレーニングに誰か影響力のある、憧れの人を一人持つと良いでしょう。有名人だとインタビューも探せば見つかりますから、それを教材にしてしまいましょう。その人をお師匠さんのように慕い、いっそのこと思いっきり影響を受けてしまうのです。 

ではぜひこちらをお聴きください。

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上記、ケン・ローチ監督の「麦の穂をゆらす風」主演で、南アイルランドはコーク出身のキリアン・マーフィーがイェイツの「When you are old」を朗読しています。この朗読ではあんまり強くアクセントが出ていませんが、最後のstarsのところでアイリッシュRがすこーしだけ聞けます。これがまた美しすぎて鳥肌もの。あんまりに素敵なのでご紹介しちゃいましたが、実は英国で度々行われる、英語の訛りに関する調査では、アイルランド訛りが一番セクシー💖と何度も栄冠に輝いているんですね。特に北アイルランド訛りが人気です。私もアイリッシュの明るい、一瞬キラキラっとするRの発音が好きです。

こんな動画も見つけてしまいました。

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もしアイルランドにお引越しとなったら、これで少し予習していくときっと役立ちますね。

シャイなあなたがパーティーで使える秘伝の技

でも、どんなに発音が完璧でも、本当は何を考えているのかちっとも見えてこないという人と、発音はこってこての日本人でも(イタリア人でもクロアチア人でもなんでも構いませんが)、実にチャーミングで、心と心が通じ合うようなおしゃべりができる人と、どちらとお友達になりたいかと訊かれたら、普通の人はやはり後者を選ぶと思っちゃうんですよね。でもどうしたらそんな風にチャーミングにおしゃべりができるようになるのでしょうか。まだ私はちゃんと英語が喋れないから、とついもじもじしてしまう。日本語だったらもっとちゃんと自分を表現できるのに、と解ります、その気持ち。

海外に住んでいると、よくパーティーというものに招待されます。シャイな私たちにとって、知らない人ばかりのパーティーって苦痛以外のなんでもない。一人でいるのも居心地悪いけど、誰かが英語でペラペラ話しかけてきたらもっと困る。フレンドリーに話しかけてくれてありがとうって言いたいところだけど、相手は自分が理解していないのに気づいていないよーっ💦というとき、焦りますよね。

今勉強中のフランス語で私はこうしています。もうはじめのうちは仕方ないと割り切って、先にお断りを入れてしまうのです。そう、ちょっとだけ頑張ってこう言ってみるのです。

Sorry, I don’t speak English very well…そしてYET.と付け加える。YETと言うときは一呼吸置いてからとびっきりの笑顔で言うのが良いでしょう。こうすると少しばかりのユーモアが加わり、あなたが今英語を学んでいて、しかもそのうちきっとうまくしゃべれるようになってやるというポジティブなエネルギーも相手に届いてくれるはず。相手もそれを聞いたら、おそらくゆっくりはっきり話してくれるでしょうし、英語を勉強しているということがわかったのでそれを糸口に何か面白い会話が始まるかもしれません。けれどもこの一言を言うときには優しい気持ちでいいましょうね。ただ早口でつっけんどんに言うだけでは「もう私をほっといてよ」的な拒絶にも聞こえかねません。

終わりにここで、本当に使える秘伝の技を伝授しましょう。ではちょっと片手を胸に当ててみてください。両手が空いているのであれば両手でもいいです。はい、それだけ。この格好で、伝えたいことを片言でもいい、自分の言葉で話す。あなたのお顔は笑顔だったり、とっても困った顔をしていたり、話す内容によって違うと思いますが、相手にはあなたが、あなたの心にある、本当のこと*1を言っているのだと伝わります。ハートのあるところ*2に手をやると、ハート同士の会話ができるというわけ。ぜひお試しあれ。
最後にもうひとつ、ちょっとドキドキするかもしれませんが、ちゃんと相手の目を見て話せたらより好印象ですよ。

では!

*1:ただし、心にもないことを言っていたら、動作と言葉がちぐはぐになって、ちゃんとバレる仕組みになっていますのでご注意!

*2:手を当てるのはあくまでも自分の胸にしてね!

英語って音楽みたい

こんにちは。ごきげんいかがですか? シャドーイングは試してみましたか? 

さてこのシャドーイング、真面目にやると数分間やるだけで、結構口の筋肉が疲れてきます。お気づきになりましたか? それからあなたがいつもと違う口の形をしてしゃべっていることにはっとしたのでは?

 

 

英語はマッスル?

動物の鳴き真似などしてみるとよくわかると思いますが、声というものは楽器のように口の形や息の出し方や響かせ方で、全く変わってきますよね。逆に、英語を話そうとするときと、日本語を話そうとするときでは、出す音色やリズム、メロディーが違うのですから、私たちの体が全く違った動きをするのです。試しにフランス映画を観ながらフランス語(のつもり)でシャドーイング(のつもり)をやってみましょう!あれ、なんだかまた、英語のときとは違う形で口が動いていますよ。筋肉の疲れ方も違うでしょう?

英語の単語やフレーズを発音するときに、日本語の口の動かし方ではスムーズに行きません。これはネイティブの発音が、この単語やフレーズを効率よく言うために進化した形だからです。さらに、その音を出すために体のあらゆるパーツが協力し合っているということも理解しなくてはなりません。言い換えれば、発音をよくすると、あなたも効率よく話すことができる。つまり、話すときに楽ができるということです。日本語でもそうですよね。簡単な例を挙げてみると、「あたたかいね」が「あったかいね」になったり、「信じられな〜い」が「信じらんな〜い」、どこんち、ぼくんち、あたしんち、「わかっているよ」は「わかってるよ」の方が話し言葉では自然ですよね。それから表記の仕方についてどれが正しいのか、しばしば議論の対象にもなっていますが、せんたっき、りょかっきなどという例もあります。「私」や「あなた」、「彼」や「彼女」、助詞の「を」もよく省かれますが、なくても意味は通じます。

言うほど速くしゃべってない、と主張するネイティブスピーカーの言い分

さて、教科書で勉強していたときは理解できていたのに、ネイティブの会話を聞いたら、やたらにスピードが速くて全くついていけなかった! というのは語学を始めて必ずぶち当たる壁です。けれどもネイティブに言わせると、いやいや、そんなことはない。よく聴いてみれば、言うほどスピードは速くないはずだと言います。「そうかなぁー」と私もつい疑いの目で見てしまいましたが、よく観察してみると、なるほど! 発音されない音がたくさんあったり、むにゃむにゃっと弱く発音されたりしているから、やたらに難しく聞こえるけれど、文字に起こしてみると大したことは言っていない!

 

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これはBig Trainという BBC で放送されていたコメディーですが、フランスの田舎で観光客が車が故障して困っていて、近くに自動車修理工場はないかと自転車で通りかかった男性に声をかけるという設定。いくつかセリフを書き起こしてみます。聞こえてくる英語と文字になったものを比べてみてください。

  • Excuse me, excuse me. Sorry, do you speak English?
  • No, I don't. Sorry.
  • My car's broken down...and I wondered if you could tell me where to find a garage.
  • Yeah. Well, you know, that's wasted on me.
  • I don't understand what you're saying.
  • You don't speak any English at all?
  • Not a word, no.
  • It's one of those things where I wish I paid more attention in school but...

"Do you speak English?" Big Train - BBC TWO より引用

ルールを知れば大したことない…かな?

幸いにも、この、話し言葉では消えてしまう音があったり、省かれてしまう単語があったりする現象には、知っておくと便利ないくつかのパターンがあります!あとで順を追ってしっかり見ていきましょうね。でも残念なことに、これを頭で理解できても、目の前でしゃべっている人の言葉を本当に理解するまでには少し時間がかかります。ですからその前にこのむにゃむにゃや、省かれた音があっても理解できるように、少しずつ作戦を練りながら、自分を鍛えていくことにしましょう。

英語という音楽に慣れる。

英語には独特のリズムや、メロディーがあるということは、皆さんも薄々お気づきだとは思いますが、まずはこれに耳を傾けてみることから始めましょう。英語と一口に言っても色々ありますが、はじめのうちはアメリカ英語とイギリス英語という大きい区分でそれぞれのスタンダード*1と呼ばれているものを聴くので良いと思います。それが一番ベースづくりには向いているからですが、実はイギリス英語というのはとても抽象的な概念で、実際にイギリスで話されている英語には様々なアクセントや方言があり、とてもカラフルでバラエティに富んでいるのです。もし好きな俳優など、あなたがあんな風に喋りたいと思う人がいるのなら、その人のインタビューを聴いてみるのも良いと思いますし、選択肢は色々あります。そして、もしあなたがどこか訛りの強い地域に引っ越す予定があるのであれば、もちろんその地方の言葉についての知識が少しはあった方が良いと思います。でも聞き取れないのははじめのうちはしかたがないと思ってください。標準英語のベースがしっかりあれば、そのうち聞き取りもできるようになります。それから、大抵その地方にもいろいろな地域から移り住んできた、色々なアクセントで話す人が暮らしていますし、地元の人たちだってテレビやラジオ、映画などでスタンダード英語に常に触れていますから、地元の訛りで話さなくてもあなたを理解してくれます。もちろん、その土地の言葉を話せたら、ウケは良いでしょう。義理のお母様なんて大喜びでしょう。けれどもいわゆるスタンダードと言われている英語は情報も収集しやすいし、教材になるものが断然多いです。ですから勉強するにはそこから始めるのがいちばんなのです。それに、はじめから土地の言葉で話そうとして、自分が自分を理解できないようでは困ってしまいますしね。 

ままらにの地味な自慢話 〜 方言こってこてのお客様相手にカスタマーサービス

私は以前、ご縁があってイギリスの北の方の、とても訛りの強い地域に住んでいたことがあります。そしてなぜかそこで、小さな会社のカスタマーサービス(電話です…)のアルバイトをしていました。なぜ着いたばかりの日本人の私にマネージャーがこの仕事をさせようと思ったのか、どう血迷ったらそういう判断をするものなのか、今でも本当に不思議なのですが、それくらいこの地方の方言、訛りというのは半端でないことで有名なのです。Geordieと呼ばれている英語です。はじめのうちはさすがに苦笑いしかできなかったのですが、いつの間にかお客さまの話が逃げなくなっていたのです。これは別に、私のせいで客が寄り付かなくなったという意味ではありません。理解しようと頑張って聞いているのに、お客様の話す英語がうなぎのようににょろにょろして、それを素手で握ろうとしてつるり、そんな感じです。一旦は逃してしまったらもうどうしようもなくて、周りの水をばしゃばしゃやるぐらいしかできなかった…(涙) そんな私でも、いつしかGeordieのお客様の心をぐいとつかみ、五つ星サービスとまで言わしめることができたのは、彼らの話す英語のリズムに耳を澄ませ、一緒に波に乗ってどこまでも付いていったから。一度乗ったら落ちないぞ、というしつこさで、彼らの歌にシンガロングした訳です。実はこれはただの地味な自慢話ではありません。それくらい、メロディーって使える!ということです。

シャドーイングがかったるかったら「ラララ」

そうです。シャドーングで単語を追いかけるのがしんどければ、「ラララ」でも良いのです。とにかく英語特有のメロディーやリズムをキャッチしてみて下さい。

しばらくそうして聴いていると、文がいくつかのまとまりで成り立っているのがわかってくると思います。まとまりとまとまりの間には小休止が入ったり、間投句など、つなぎ言葉を入れたり、色々ですが、ひとつのまとまりの中には大抵他より強調されて、強く発音される単語があるものです。これに注目すれば何について話しているのがだいたいわかってきます。

ここまできたらしめたもの。次回からは具体的にここから飛躍的に英語力を伸ばすテクをご紹介していきたいと思います。 

それではまた。

 

*1:スタンダードと呼ばれているのはイギリス英語ではRP (Received Pronunciation)というもので、もともと英国南部のパブリックスクール出の教養のある人たちが話していた英語なのだそうです。この呼び方は古臭いとBBC Pronunciationと呼ばれたりもしています。映画版のブリジット・ジョーンズもこのアクセントで話しています。アメリカ人のレネー・ゼルウィガーがアクセントコーチについて特訓を受けたという話は有名ですね。この発音は辞書や、語学書などの発音ガイドとして取り入れられていますが、実際には人工的でこのようなアクセントで話す人はイギリス英語人口のうちのほんの一握りなのだとか。

英会話上達のための3つの心得 

こんにちは。ままらにです。
今日は私が語学をする上でとても重要だと思う3つのポイントと、前回お話したシャドーイングについて、さらに実際にシャドーイングをするのにオススメの音源も少しご紹介したいと思います。

 

イギリス英語とアメリカ英語

先に進む前に、私が学んだのはイギリスで話されている、いわゆるイギリス英語だということをお伝えしておかなければなりません。もちろんアメリカの映画も観ますし、娘と一緒に YouTube でアメリカの子供向けの番組も観たり、音楽も聴きます。ですが、詳しく知っているのはイギリス英語のほうです。今回はアメリカ英語のものとイギリス英語のものとふたつ、音源のサイトをご紹介しますが、やはりどうしてもイギリスのものが中心になってしまうと思います。ただ、アメリカ英語が主流の日本でイギリス英語というとなんだかレアもののように聞こえますが、実際に見てみると、イギリス英語が話されている国は沢山あります。元植民地のインド、オーストラリア、ニュージーランドはもちろん、私の住むヨーロッパでも、共通言語として話されているのはイギリス英語です。他にも西アフリカなどで話されている、英国との奴隷貿易から生まれ、地域地域で独自に発展していった West African Pidgin English というものもあります。Pidgin English は他にもあって、もともとプランテーションなどで別の言語を話す者同士がなんとか意思の疎通を図ろうとして生まれたものです。発音や、言い回しなど、独特でとても面白いのですが、実用英会話とはなりにくいので、こちらに関してはいつか別に新たな項目を作って研究してみたいと思います。

意外に知らない英会話のコツ。この3つを押さえておけば必ず話せるようになる。

さて、このシャイな私たちの英語倶楽部が目指すのはやはり、心の通うコミュニケーションのための英会話です。そのためにここで幾つかのポイントを確認しておきたいと思います。

  1. 自分に合ったインプットの方法を探すことが大事。
  2. 話せるようになるには話すこと。
  3. 恐れを手放し、リラックスすること。

1.なぜ自分に合ったインプットの方法を見つけなければならないのか。それはイコール(=)どうしたら続けられるかという問題です。私はとても飽きっぽい性格で、色々なことに次々に興味を持ってしまい、少しかじってはしばらく放っておいて別のことを始め、そちらが飽きたらまた戻って、ということの繰り返しをしています。他の趣味ならそれでも良いのかもしれませんが、語学は続けないと身につきません。使わない回路は脳みそが上手にシャットダウンしてくれますから、せっかく始めてもすぐやめてしまっては、気が変わってもう一度やろうとした時に、また一からやり直しになってしまいます。飽きっぽい性格で多趣味の私でも、幸い英語には飽きたことがありません。本を読んだり、映画を観たり、人と会話を楽しんだり、英語は身につけると色々な世界に私を連れて行ってくれますから、飽きる暇がないのです。けれどもある程度身につくまで続けるには、やはり自分の性格に合ったメソッドを使わなくてはなりません。合わない方法で無理をして、勉強が苦痛になってしまっては続くはずがありません。植物が水や養分を根から吸い上げ、陽の光を浴びて、ある時ポッと花を咲かすように、私たちも学んだ事をごく自然に自分の言葉として外に出してあげられるようにするのです。言語学習も気持ちよく、楽しく、好奇心をそそられながらやるのが理想です。

2.話すためには話す。これはもう少しお話ししました。はじめは相手や観客などいなくて良いのです。独り言でOK。シャワー浴びながらでもいいし、自転車に乗りながらでもいい。頭と口を繋げる回路を強化するトレーニングをします。

3.恐れを手放し、リラックス。すなわち自意識過剰にならないことです。自分が思っているほど、相手はあなたのことを気にしていません。少し間違えたからって世界の終わりが来たかのように恥ずかしく思うことはないのです。外国語なのだから間違えて当たり前だし、母語とは違う言語を話そうと努力をしている自分をむしろ褒めてあげるべきです。それでも怖くなったら、日本語を話そうと頑張っている外国人に自分が出会ったらどう思うか考えてみましょう。あなたはその外国人の文法の間違いや、訛りをばかにして笑いますか?

英語の森の入り口 – シャドーイング

さて、この3つのポイントを踏まえた上で、英語という森に分け入っていく入口のひとつとして、私がまずオススメしたいのがシャドーイングです。これは毎日やる筋トレとか、ストレッチに似たものと考えていただくと良いと思います。具体的には、音声を聞きながら、聞こえたままにそれを復唱するのです。一文聞き終わってから言うのではなくて、聞こえた音を、切りのいいところまで待たずに、即座に発声していきます。

まずは何も考えずに飛び込んでみよう。

ごちゃごちゃ言わず、まずは実際に試してみましょう。

99percentinvisible.org

こちらはカリフォルニアにベースを置くポッドキャストの配信局。「普段あまり考えることのないことについて考えを巡らす」というサイトで、様々なトピックで30分ほどのポッドキャストを選んで聞く事ができます。ポケットについての考察やら、私もイギリス時代に毎晩聞いていて、実は特別な思い入れのある Shipping Forecast についてもありました。

99percentinvisible.org

そして素晴らしいことに、全てのエピソードに transcript(文字起こしされたテキスト)が付いています。ただシャドーイングとして聴く時は、はじめのうちはこれを見ずにやってみましょう。最初から transcript を見ながらやってしまうと、シャドーイングの醍醐味が味わえないので。

もう一つは英国発、Spark 

stories.co.uk

こちらは元々ロンドンの Spark London という、英国初の True Storytelling Club(実話クラブ?)から始まって、今では英国各地に広まった、Storytelling Nights で収録されたものを配信しているサイト。ここで発表できるのは

  1. 実話であること。
  2. 自分自身の話であること。
  3. 5分以内であること。

この3つの条件を満たしているお話。実際に話されている、本当に生き生きとした英語を聞くにはとても良いサイトだと思います。 

Spark True StoriesPodcast - Spark True Stories

まずは何も考えずに、シャドーイングしてみてください。そしてどんな効果が現れるか、ぜひメモしておいてください。

実際にシャドーイングをしばらく続けてみると、色々なことが起こってきます。当然シャドーイングのやり方も、上達のレベルに合わせて少しずつ調節していく必要があります。次回からはその具体的な方法をご紹介していきたいと思います。

 

では。

英語の「けもの道」を作ろう


Queen - Radio Ga Ga (Official Video)

 

習慣を味方につけた金メダリスト

元競泳選手のマイケル・フェルプスさんがイメージトレーニングを身体的なトレーニングとともに習慣として取り入れていたことはよく知られています。彼があれだけのメダルを獲得できたのは、イメージトレーニングをしながら、習慣というものを味方にできたから。朝晩のイメージトレーニングに加え、ストレッチ、ウォーミングアップ、実際に水に入って泳ぐ、といった一連の行動を毎日地道に繰り返すことで、それを習慣として自分の一部にしてしまったのです。彼はオリンピックの本番でも、この習慣を崩すことはなかったそうです。つまりオリンピックの本番でさえ、この習慣の延長として捉えることで、自分らしい泳ぎができたのです。

ではこれを語学に置き換えて考えてみましょう。
文法も、読解力も完璧、なかなか良い文章を書ける。なのに、なぜか話そうとすると固まってしまう。これは海外の語学学校で出会う典型的な日本人の姿です。何を隠そう、私自身がそうでした。英語は好きだったので、中学、高校の学期末テストで他の教科は落第点に近いものしか取れなくても、英語だけはほぼ毎回満点。なのに…
たしかに日本にいると英語を話す機会はそれほど多くは訪れません。ある程度自主的に英語環境に飛び込んでいかなければ、日本語だけで必要なことはほぼまかなえてしまいます。

最近ではネイティブスピーカーの先生が来てくれる中学や高校もあるようですし、「英語村」なるものもオープンしたようですが、私の中学、高校時代の英語の授業は、読み、書き、文法が中心で、会話の練習はNHKのラジオやテレビの番組で自主的にやるしかありませんでした。まじめにこつこつやっていればこれでも語彙は増やせるし、しっかりした文法の基礎も身につくと思います。でも圧倒的にinput が多くて、output が少なすぎる。食べるだけで出さないというのは不自然だし、健康的ではありませんね。語学も、入れたら何らかの形で外に出してあげるようにすると、自然に自分のからだの、そして生活の一部として身についていくのです。

喋れるようになるには、まず喋ろう ~ ストレッチ & 筋トレのすすめ

Output、外に出してやる主な方法としては話すことと書くことがありますね。どちらもシャイな私たちには少し勇気のいることですが、アプローチを少し変えるだけで、楽々できるようになります。まずは話すことから見ていきましょう。

実はこれはそれほど難しいことではありません。独り言でもいい、自分の言っていることの意味がわからなくてもいい、とにかく喋ることです。英語を話すのは難しい、というカチコチになった頭をほぐすストレッチと、英語を話すために実際に必要な筋肉をトレーニングすることのふたつをまずやってみるのです。後者は意外に軽視されているのですが、日本語を話すときと、英語を話すときとでは口の周りの筋肉の使われ方が違います。私は夏休みなどで帰省して、ちょっと長く日本語生活を送っていると、こちらに戻ってきたときに口が思うように動いてくれなくて毎回困ります。英語でたくさん喋ることで脳と口の周りの筋肉を繋げる「けもの道」を作るのです。つまり、習慣づけをするのです。

では私が実際にやってみたことをご紹介します。

貧乏学生時代のお友達 ~ GAGAくん

貧乏学生だった私は、とにかくけちんぼうで、何を買うにも数週間悩んでから決めるという徹底ぶり。テレビやラジカセにしても、友達に英語の勉強になるから、と強く進められて買うまでにずいぶんと長い月日が経っていました。そんな私の唯一音の出るお友達は日本から持ってきたソニーのワールドバンドレシーバー、通称GAGAくんでした。短波も中波も入るラジオです。これで日本の放送も聞けると思って持ってきたのでしょうが、結局聞いていたのは現地のラジオ曲。朝から晩まで部屋にいるときはずっと何か喋っていてくれました。とにかくこれしかなかったので、私はなんとか最大限に利用しようとしていました。よく登場する、気になる単語は辞書で綴りを調べて付箋に書き、壁に貼っていきました。その前を通りかかったら確認、覚えてしまったら剥がす、なんてやっていると、部屋は黄色く、いつもお祭りのように華やかでした。

もうひとつやっていたのが、音声に合わせて意味もさっぱりわからないまま、聞こえてきた声を聞こえてきたまま声に出して真似てみるということでした。まるで逃げていく龍の首につかまって空を飛んでいるかのように、始めのうちはあっけなくつるりと振り落とされてばかりで、全く歯が立ちませんでしたが、昔から英語の歌を聴きながら意味もわからずマネして歌うのは好きだったので、結構楽しんでやっていたように思います。

なんだか貧乏くさいやり方ですが、これが後に大変な効果を現してくるのです。始めはただの音の流れ、blahblahblahblahblah にしか聞こえなかったものが、数週間すると、blah blah blah blah blah になってきます。違いがわかりますか?さらにしばらくするとこれがblah blah blah and blah blah blah blah blah blah, and some more blah みたいにちょっとずつ意味の区切りが見えてくる。そして徐々にただのノイズだったものが単語に聞こえてきて、その意味がわからなかったら実際に辞書で調べることができるようになるのです。これがシャドーイングと呼ばれる、よく知られたテクニックだということを当時私は全く知りませんでした。ただ私のやっていたこの方法では、後で確認するためのテキストもなかったし、自分の喋ったことを録音して後で反省会をするなどということは一つもやっていませんでした。つまりほぼやりっぱなし。それでもその効果は周りの人を驚かせるほどでした。

さて、ラジオも世界各国のものが簡単に聞けるようになりました。私も今ではワールドバンドレシーバーを卒業し、時々Sonos のワイヤレススピーカーで日本の放送を聞いたりしています。パソコン上で直接世界各国のラジオ番組を聴くことも可能ですし、英語圏のポッドキャストを聴いたり、YouTube を利用したり、選択肢は沢山あります。

次回はままらにオススメの音源リンクと、シャドーイングについてもう少しお話ししてみたいと思います。

シャイな私たちは聞き上手。

 

今日は具体的にintrovertな私たちを解剖して見てみましょう。といっても、世の中に100% introvertな人間や100% extrovertな人間が存在するのかどうかは疑問です。その割合が少しずつ違うというだけで、人はみなintrovertな部分とextrovertな部分を合わせ持っているように思えるからです。ですからここでintrovertとかextrovertとか呼ぶ時はそれぞれの傾向が特に強い人という風に解釈してくださいね。

Extrovertsとintroverts、それぞれのコミュニケーションスタイル

Extroverts *1の多くは、自分が話すのに忙しくて、人の話にじっくりと耳を傾けることが苦手です。私の知っているextrovertsは、社交的なので初対面の人とでもごく自然に会話を始めますが、相手に色々と質問する割には、返ってくる答えにはあまり興味がないようです。
一方introvertsは人の話を聞くのが得意。口を開くのも、相手の話を終わりまで聞いてからです。自分がどう思われるかを非常に気にするので、発する言葉を吟味してから口に出します。自分の頭の中でたくさんのことが起こっているので、そこからちょうど良い言葉を探すのに少し時間が必要で、親しくない人との言葉のキャッチボールは苦手です。言いたいことがあるのに、なかなかそれが口からぽんっと飛び出てこないのは、頭の中で未消化なものは出せないから。しっかりした意見や、独特の世界観を持っているにもかかわらず、それを言葉にすることに対してひどく用心深くなってしまうので、周りの人とそれがうまくシェアできません。
Extrovertsはいつも話しているので、頭と口が直結しているかように、口から次々に言葉が飛び出してきます。ところがintrovertsは頭の中の豊かな語彙やアイデアをまず「話す」というアクションに繋げなくてはならないのです。

Introvertsと完璧主義

Introvertsの中には完璧主義の人が少なくありません。Extrovertsにも完璧主義の人はいますが、違いは、良い結果を出すためには彼らが人に助けを求めることに躊躇しないということ。芸術家に例えると、映画監督にそういう人が多いのではないでしょうか。映画のエンドロールを見ると、どれだけ大勢の人が一本の映画のために動いているかがわかります。
それに対してintrovertsは一人でアトリエにこもり、時間がかかっても納得いくまで描き続ける画家でしょうか。時には描いた絵を遠くから眺め、自分の思い通りに進んでいないことがわかると潰してしまう。そんなことを繰り返しながら、彼は作品が見せられる状態になって初めて、アトリエの鍵を開けるのです。こう言うと孤高の画家のようで、なんだかカッコよく聞こえますが、実際は、ありのままの自分をさらけ出すことが苦手なのです。

 

いよいよ次回からはintrovertsな私たちにも抵抗なく、ストレスフリーでできる勉強法を少しずつ紹介していきます。

*1:extrovertは形容詞であり名詞。この場合は「外向的な人」という意味の名詞に複数形のsがついたもの